年収の壁100万・103万・106万・130万・150万・201万について解説

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年収の壁の概要

配偶者が働いている場合、「配偶者本人の税金・社会保険負担」や「配偶者を扶養に入れている側の税制上の控除」などが、配偶者の年収の金額によって変化します。この変化点が一般的に「壁」と呼ばれています。

代表的なものとしては、次の6つの金額がよく話題になります。

  1. 年収100万円の壁
  2. 年収103万円の壁
  3. 年収106万円の壁
  4. 年収130万円の壁
  5. 年収150万円の壁
  6. 年収201万円の壁

6つの壁のポイントと主な影響

壁となる年収 主な対象 内容・ポイント
100万円の壁 住民税(自治体による差あり)
  • 多くの自治体で、年収が100万円以下なら住民税がかからない(実際には「給与所得控除」や「住民税の基礎控除」などを考慮した結果、課税所得がゼロ円となる)
  • 自治体によっては非課税となる年収の基準が異なる場合あり
103万円の壁 所得税(配偶者本人)
  • 年収が103万円以下なら「所得税がかからない」
  • 給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円の非課税ライン
  • 配偶者本人が所得税を支払わずに済むため、手取りが増えやすい
106万円の壁 社会保険(従業員51人以上の企業など)
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)、かつ一定の要件を満たす場合、年収社会保険(健康保険・厚生年金)に加入が義務化
  • 対象は主に従業員51人以上の企業で働く人など
130万円の壁 被扶養者(社会保険)
  • 年収130万円を超えると、健康保険の被扶養者から外れる
  • 従業員501人未満の企業や他の条件で106万円を超えても社会保険が適用されていない場合でも、この130万円を超えると自分で社会保険に加入する必要がある
150万円の壁 配偶者控除
  • 配偶者が年収150万円以下だと、扶養している側が満額の配偶者控除を受けられる
  • 150万円を超えると、配偶者特別控除として段階的に控除額が減少していく
201万円の壁(正確には201万6千円) 配偶者特別控除
  • 配偶者の年収が201万6千円を超えると、扶養している側が配偶者特別控除を受けられなくなる
  • 201万6千円以下であれば、段階的に配偶者特別控除が適用される

補足:「配偶者控除」や「配偶者特別控除」は、あくまで配偶者を扶養している側の所得が一定以下(年収1,220万円以下 など)の場合のみ適用されます。また、「住民税の100万円の壁」は標準的なケースであり、自治体によって非課税となる基準が異なる場合があります。


3. それぞれの壁をもう少し詳しく解説

(1) 年収100万円の壁

  • 対象:住民税
  • 意味:給与所得控除+住民税の基礎控除などを差し引くと、課税所得がゼロになりやすいライン。結果、住民税が非課税となる。
  • 注意点:実際には自治体ごとの住民税の非課税基準が少し違うことがある(例:年収98万円以下など)。

(2) 年収103万円の壁

  • 対象:所得税
  • 意味:給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円までは所得税がかからない。
  • 影響:103万円以下なら配偶者本人の所得税がゼロになるため、手取りが増えやすい。

(3) 年収106万円の壁

  • 対象:社会保険
  • 意味:短時間労働者(パート・アルバイトなど)であっても、以下の条件を満たす場合、健康保険・厚生年金に加入が義務付けられる制度です。
  • 具体的な要件:
    • 1週間の所定労働時間が20時間以上
    • 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
    • 勤務期間が1年以上見込まれること
    • 学生ではないこと
    • 企業規模(2024年10月からは「従業員51人以上」が対象)
  • 影響:社会保険に加入すると、健康保険料や厚生年金保険料の自己負担が発生します。しかし同時に、将来の年金額が増加したり、保険給付が手厚くなるなどのメリットもあります。したがって、手取りの減少だけでなく、将来的な保障の拡充を含めて検討することが大切です。
  • 注意点:従業員数が少ない企業(従業員50人以下)でも、配偶者の被扶養者から外れる「130万円の壁」が別途存在するため、130万円を超えると国民健康保険・国民年金等に切り替えが必要になるケースがあります。

(4) 年収130万円の壁

  • 対象:社会保険(被扶養者)
  • 意味:年収130万円を超えると配偶者の被扶養者(健康保険)に入れなくなる。自分で国民健康保険や厚生年金等に加入する必要が出てくる。
  • 注意点:従業員51人未満の企業や他の条件で106万円を超えても社会保険に加入していない場合でも、130万円を超えると被扶養から外れる。

(5) 年収150万円の壁

  • 対象:配偶者控除・配偶者特別控除
  • 意味:配偶者の年収が150万円以下だと、配偶者を扶養している側(夫)が配偶者控除を満額受けられる。これを超えると控除額が段階的に減る。
  • 注意点:夫の年収が1,220万円を超えて高い場合は、配偶者控除・配偶者特別控除を受けられないことがある。

(6) 年収201万円の壁

  • 対象:配偶者特別控除の上限
  • 意味:配偶者の年収が201万を超えると、夫の配偶者特別控除がゼロになる。201万以下であれば段階的に配偶者特別控除が適用される。
  • 影響:ここまで年収が上がると、夫側の税制上の扶養メリットは無くなる。ただし、配偶者本人は独立してしっかり稼げる状況と言える。

壁を意識した働き方・シミュレーションのポイント

  1. 手取りベースで考える
    • 「年収○○万円」という数字だけでなく、実際に手元に残るお金(手取り)でどれだけ増減があるかを確認することが大切です。社会保険加入で保険料の負担は増えますが、その分将来の年金が増えるなどのメリットもあります。
  2. 家計全体の収入を考慮する
    • 配偶者(妻)がパート収入を抑えて扶養内に収まるメリットと、扶養外になるデメリット(保険料負担増など)を比較し、世帯収入としてどれだけ得かをシミュレーションするとよいでしょう。
  3. 企業規模や勤務形態にも注意
    • 106万円の壁は企業規模や週の労働時間(週20時間以上)などの条件に左右されるため、自分の勤務先がどれに該当するかを確認してください。
  4. 扶養している側の年収制限もチェック
    • 配偶者控除・配偶者特別控除は、扶養している側の所得が一定以下の場合のみ適用されます。扶養している側の年収が高い(おおむね1,220万円超)と控除を受けられないケースがあります。

ワンポイント:法改正や制度変更により条件が変わる場合があるため、常に最新の情報をチェックしてください。

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